朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』を読みました。
アイドルとファンをめぐる物語ですが、私が一番気になったのは、アイドルでもファンでもなく、47歳の会社員・久保田慶彦という人物でした。
彼は仕事を中心に生きてきた、いわゆる「会社人間」です。
私はすでに早期リタイアしていますが、会社員として働いていた頃の自分を思い出しながらこの人物を読みました。
『イン・ザ・メガチャーチ』の簡単なあらすじ
『イン・ザ・メガチャーチ』は、現代のアイドルと「推し活」を題材にした朝井リョウさんの小説です。
アイドルを応援するファン、ファンダムをビジネスとして仕掛ける側、そしてかつてファンだった人。
それぞれの立場から、アイドルをめぐる人々の思惑や感情が描かれています。
その中の一人が、レコード会社に勤める47歳の男性、久保田慶彦です。
慶彦には、離れて暮らす19歳の娘・武藤澄香がいます。
仕事を中心に生きてきた慶彦は、会社以外の人間関係がほとんどありません。
娘との月1回のオンライン通話でも、なかなか会話が続かない。
そんな彼の姿が、物語の中で妙にリアルに感じられました。
久保田慶彦が、なんだか他人事に思えない
慶彦は、特別に嫌な人物として描かれているわけではありません。
むしろ、真面目に仕事をしてきた普通の会社員です。
会社では仕事がある。
肩書きもある。
人と話す機会もある。
ところが、会社を離れたらどうなるのか。
そこが、この人物を読んでいて気になったところです。
私はすでにFIREして会社を離れています。
会社に行かなくなってみると、仕事をしていた頃には当たり前だった人とのつながりが、実は「会社」という場所によって作られていたものも多かったことに気づきます。
仕事をしている間は、それほど意識しません。
でも、仕事がなくなってみると、
「自分は何をして過ごすのか」
「誰と話すのか」
ということを、自分で考える必要があります。
だからといって、会社人間が悪いわけではない
ここは誤解したくないところです。
仕事を一生懸命やってきたことが悪いわけではありません。
家族を支え、会社で責任を果たし、長い間働いてきた。
それ自体は、とても大切なことです。
ただ、会社を離れた後にも楽しめるものがあるかどうかは、別の話です。
私の場合は、FIREしてからブログを書いたり、国内外の旅行をしたりと、会社員時代とは違うことを楽しむようになりました。
こうした時間を持てることは、早期リタイアの大きな魅力の一つだと思っています。
「仕事以外の自分」を持っているか
『イン・ザ・メガチャーチ』を読んで、あらためて思ったのは、
仕事以外の自分を持っていることは、案外大切だな
ということです。
趣味でもいい。
旅行でもいい。
昔からの友人でもいい。
一人で楽しむものでも構いません。
会社とは関係のないところに、自分が好きなものがある。
そういうものが一つでもあれば、会社を離れた後の生活は少し違ったものになるのではないでしょうか。
『イン・ザ・メガチャーチ』を読んで
『イン・ザ・メガチャーチ』は、アイドルや推し活を扱った小説です。
最初は、自分とは少し遠い世界の話かなと思っていました。
ところが、久保田慶彦のような人物が出てくることで、急に身近な話になりました。
私はすでに会社を離れているからこそ、久保田慶彦の姿を見て、「仕事以外の時間をどう楽しむか」ということを、あらためて考えたのだと思います。
アイドルや推し活に興味がない人でも、意外と自分のことを考えさせられる小説です。
特に、長く仕事を中心に生きてきた男性には、一度読んでみてほしい一冊です。